経済学部松本ゼミナール3年生の2グループが第14回プロネクサス懸賞論文で「優秀賞」(部門Ⅱ)と「佳作」(部門Ⅱ)を受賞しました
経済学部松本ゼミナール3年生の2グループが第14回プロネクサス懸賞論文(主催:株式会社プロネクサス,後援:株式会社日本取引所グループ・株式会社東京証券取引所)で「優秀賞」(部門Ⅱ)と「佳作」(部門Ⅱ)を受賞しました。
この懸賞論文コンテストは,企業のディスクロージャー・IRにおける実務サポートを提供する株式会社プロネクサスが,同社のCSR活動の一環として2009年度から行っているものです。
「優秀賞」(賞金30万円)を受賞したのは,大澤悠之介・金子竜弥・佐野綾音・清水優志・西中惠音・羽鳥怜・保田遥華の7人(松本ゼミナール3年)が執筆した論文「日本企業の決算説明会動画に関する実態調査-決算説明会動画開示に対する改善提言-」です。また,「佳作」(賞金10万円)を受賞したのは,阿部大星・一瀬颯介・今井英喜・上田隼太郎・大和田叶夢・藏本聖哉・小松彩葵・菅沼光騎・戸高璃玖翔の9人(松本ゼミナール3年)が執筆した論文「日本企業におけるスキルマトリックス情報開示の現状把握と改善提言」です。これらの2論文は株式会社プロネクサスが発行する『研究レポート』および会員制実務支援サイト『PRONEXUS SUPPORT』に掲載されます。
また,優秀賞を受賞した論文「日本企業の決算説明会動画に関する実態調査-決算説明会動画開示に対する改善提言-」は,日本で唯一の企業会計と企業財務の専門週刊誌である『週刊経営財務』(株式会社税務研究会発行)に全文が掲載されることにもなっています。
2本の論文の概要
①優秀賞受賞論文「日本企業の決算説明会動画に関する実態調査-決算説明会動画開示に対する改善提言-」
本論文の目的は、日本企業によるIR(投資家向け広報活動)の1つである、決算説明会動画の開示状況について調査し、決算説明会動画をホームページ上で開示(配信)している企業の特性を分析することで、日本企業の決算説明会動画の効果的な開示方法およびその開示内容を模索することにある。
本論文は、日本企業の決算説明会を対象とした研究や米国企業のカンファレンスコールに関する研究を参考にしながら、TOPIX1000構成銘柄を対象にして、①日本企業による決算説明会動画の特徴(再生時間、登場人物、目次の有無など)を定量的に調査し、②決算説明会での質疑応答でどのような質問が飛び交っているのかを調査し、③決算説明会動画開示企業(英語版も含む)の企業特性(コーポレート・ガバナンス構造など)を回帰分析によって明らかにしている。概して、コーポレート・ガバナンス構造(取締役会規模、取締役会の独立性、取締役会の多様性)が厳格な企業ほど決算説明会動画を開示している傾向があること(特に女性役員や機関投資家の存在が大きい)を発見している。
本論文は、これらの実証結果を踏まえたうえで,日本企業の決算説明会動画の開示方法・内容について大きく5つの観点から改善提案を行っている。
②佳作受賞論文「日本企業におけるスキルマトリックス情報開示の現状把握と改善提言」
本論文の目的は、株主総会招集通知を利用して日本企業のスキルマトリックス情報開示の現状・特徴を把握した上で、先行研究で指摘されている知見が日本企業でも当てはまるのかを検証し、日本企業によるスキルマトリックス情報開示の改善提言を行うことである。
本論文の最大の特徴は、日本企業1000社(TOPIX1000)を対象にして、日本企業の開示スキル項目数および役員の保有スキル項目数だけでなく、女性役員・外国人役員・社外取締役・社長(筆頭取締役)といった役員の属性別に保有しているスキルは異なるのかという点を調査していることである。加えて、本論文は日本企業の個人(役員)レベルと企業レベルのスキル項目数を調査し、米国企業のそれと比較している。私たちが調べた限り、日本企業を対象としたこのような研究はまだ行われていないように思われるため、本論文の調査・分析は日本企業のスキルマトリックス情報開示を考える上での参考情報になると考えられる。
本論文の主要な発見は、日本企業の役員(1人あたり)が保有しているスキル項目数は決して米国と比べて少ないものではないが(米国3.07個、日本3.32個)、米国企業が開示しているスキル項目数に比べて日本企業の開示スキル項目数はかなり見劣りすることである(米国10.42個、日本7.59個)。
本論文は,これらの実証結果を踏まえたうえで,日本企業によるスキルマトリックス情報開示についての改善提案を行った。
今回の主催企業による当該コンテストのHPはこちらです。